院長ブログBLOG

2020年08月16日(日)
糖尿病専門医に治療を任せてみませんか〜緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)〜

先日、糖尿病にて当院に治療相談のため初診でいらっしゃった患者さんが緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)でした。この病気は、主に自己免疫学的機序により、膵臓にあるインスリンを分泌するβ(ベータ)細胞が破壊され、インスリンが出なくなるため慢性高血糖状態となり、糖尿病を発症します。1型糖尿病に含まれますが、急性発症1型糖尿病や劇症1型糖尿病と違い、ケトアシドーシスに陥るケースは少なく、2型糖尿病のような発症形式をとります。したがって、抗GAD抗体等の自己抗体を測定していない場合は、2型糖尿病として治療され、見逃される場合もあります。当院では、初回の受診の方には他院で糖尿病の診断にて2型糖尿病の治療をされている場合でも、念のために抗GAD抗体やインスリン分泌の確認の採血をお願いしております(もちろん保険適応です)。上述のとおり見逃されている症例も多く存在している可能性があるからです。名古屋第二赤十字病院(八事日赤)や名古屋大学医学部附属病院(名大病院)の勤務時代にも多くの症例を見つけて来ました。

高血糖が著明になると、口渇、多飲、多尿、体重減少と言った糖尿病の典型的症状が出現する可能性もあります。

この病気の治療法は2型糖尿病とは少し異なります。以下の2つの方法があります。(日本内分泌学会より一部引用)

<インスリン療法>
保険診療上1型糖尿病に分類されますので、インスリン療法が基本となります。急性発症1型糖尿病では、基礎インスリンと追加インスリンのBasal-Bolus療法が不可欠な場合がほとんどですが、緩徐進行1型糖尿病で、内因性のインスリン分泌能がある程度保たれている症例では、インスリン投与量や注射回数を減らせる場合もあります。

<薬物療法>
αグルコシダーゼ阻害薬は食後過血糖がある場合、緩徐進行1型糖尿病患者さんにも投与が可能です。また、研究レベルではインクレチン関連薬が有効である事を示す報告もあります。

糖尿病専門医に治療を任せてみませんか。日々進化する最新の治療法を勉強し、糖尿病専門医として最新の治療を提供することをお約束します。

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